「神と人に愛の絆」

A. ヘブル語から来た日本語

 ユダヤ人が日本に来たとき、古代イスラエルの習慣が日本にあることに驚くといいます。2006年12月6日にテレビ東京で放送された「新説?みのもんたの日本ミステリー」で、当時のイスラエル駐日大使、エリ・コーヘン氏が、「私は日本に来て、その文化や習慣がイスラエルと極めて似ていることに驚きました」と語っています。(例えば、祭りのときの掛け声「エッサ」は、ヘブライ語で「運ぶ(carry)」、ヘブライ語でアタは「あなた」、バレルは「はっきりさせる」、ホルは「穴」、コオルは「寒い」、ミツは「果汁」、ヘスルは「減らす」、ダベルは「話す」、ヤドゥールは「宿る」の意味で、このような語が500以上)。12支族から成り立っていたイスラエル王国は、分裂後、紀元前586年に滅亡しましたが、そのとき、10支族がアジア各地に離散し、シルクロードを通って、5世紀頃19万人という数で日本に渡来したと考えられています。
 イスラエルの民が、古代の日本(大和朝廷時代〜奈良・平安時代)に渡来し、聖書の教えを持ち込んだとは不思議です。ところが聖書には、歴史には神さまの力が働いていることが記されています。

B.聖書より

そこで、パウロは立ち上がり、手で人々を制して言った。「イスラエルの人たち、ならびに神を畏れる方々、聞いてください。使徒言行録13章16節
 パウロは、未信者のイスラエル人にも福音を理解してもらおうと、ユダヤ民族史のあらましを述べました。イスラエルの歴史は、神さまによって支配され、イエスの来臨によって頂点を迎えます。キリスト者が歴史を見る見方は、目標のない時の流れとは違い、常に神さまのご計画に従って進んでいると確信しています。イスラエルの歴史を短く言えば、アブラハムの選び、出エジプトの出来事、荒野のさすらい、カナン侵入、ダビデによる王国の確立、となり、これらの出来事の中に、パウロは、生きて働く神さまの支配を見ています。このように、神さまの救いの御業は、個々の出来事を通して知ることができるのです。

C. 祇園(ぎおん)祭(まつり)と天狗(てんぐ)

 日本三大祭に数えられる祇園(ぎおん)祭(まつり)は、7月を通して1ヶ月に渡って行われる長い祭りです。そこには千年を越える歴史があり、その時期は、イスラエルのシオン祭りとほぼ一致しています。そして、どちらも疫病が起こらないようにと祈願したのが始まりです。祇園際では、32基の山鉾(やまほこ)〔屋台の上に造物(つくりもの)があって、その上に鉾を立てたもの〕が人力で引かれて公道を巡り、その造物に描かれているのは、バグダット宮殿、砂漠を行くラクダ、エジプトのピラミッドなどです。更に、創世記24章に出てくる「イサクに水を飲ませるリベカ」が描かれているものもあります。祇園祭のルーツは、古代イスラエルの王のシオン祭りなのです。
 祇園際が行われる京都と古代イスラエルには、地名の共通点もあります。エルサレムとは、「平和な都市」の意味であるが、これは「平安京」です。エルサレム近くにはガリラヤ湖のヘブル語名キネレトは、「琴の海」を意味しますが、京都には琵琶湖があります。
 長い鼻の天狗伝説にも、古代イスラエルの痕跡があります。天狗について聖書解説者は、「古代イスラエルでは、山を聖なるところとして捉え、彼らは山で祈り、礼拝していた。そういう姿や顔かたちを見て、日本の人々が段々と天狗というイメージを膨らませていったのであろう」と言います。京都には、天狗伝説の代表格、鞍馬の天狗で有名な鞍馬寺があり、鞍馬寺には、牛若丸が天狗から「虎の巻」を授けられたというお堂があります。ユダヤ人にとって最も大切だというヘブライ語の旧約聖書は、巻物ですが、それは「トーラー・スクロール」(トーラーの巻物→虎の巻)と呼ばれており、モーセ五書を指します。(モーセ五書=旧約聖書の最初の5つの書―創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記―のことで、ユダヤ教の根源となるもので、モーセが書いたという伝承がある)。牛若丸が鞍馬の天狗から授かった秘伝の書とは、旧約聖書の律法(人類をキリストの救いへと導くもの)だったのかもしれません。
 日本の祭りや民衆の暮らしに古代イスラエルの習慣(旧約の教え)が入り込んでいるという事実から、神さまはユダヤ人を通して日本にも、聖書の教えを古くから伝えておられた、と言えます。

D.結び

 説教する者は、聞き手の知性と感情(心)にも訴えるよう、身近な出来事や歴史を通して、神さまの愛と力がその民にも働いていることを伝えましょう。歴史の事実から、キリスト教は西洋のものという先入観を捨て、古代から日本をも愛された神さまについて応えていきましょう。
 御翼2010年3月号その3より


  
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